緑の刺客
※画像はイメージです。(Canvaを使用した執筆者本人による作品)
突如現れた3頭目
競馬界に今もなお語られるTTGの3頭。
グリーングラスは、同期でもあるトウショウボーイとテンポイントにどう挑んだのだろうか?
今回は、緑の刺客と呼ばれた第3の男グリーングラスのレースぶりを見ていこう。
※この記事は、TTG対決のみを扱っています。
☆TTG対決トウショウボーイ編はこちらから。
☆TTG対決テンポイント編はこちらから。
4歳新馬戦(vsトウショウボーイ)
グリーングラスのデビュー戦は年が明けた4歳の1月。まだ、第3の男として注目を浴びる前だった。
晩成型の血統だったが評判は高く、2番人気で新馬戦を迎える。
しかし、この時トウショウボーイも同レースで初出走を迎えていたのだ。
レースでは同じくデビュー戦であったトウショウボーイの独壇場。
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1番人気だったトウショウボーイは直線で抜け出す。
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トウショウボーイに離される後続たち。
グリーングラスも他馬と同様に離された。
新馬戦は4着と苦い結果に。
トウショウボーイの能力が完全に頭一つ抜けている、そんな新馬戦の内容だった。
※馬齢は旧表記
第37回菊花賞(vsトウショウボーイ、テンポイント)
新馬戦の敗戦から始まり、その後はNHK杯で12着大敗を喫したが、徐々に勝ち星を挙げ、ついに菊花賞に駒を進める事が出来た。
クラシック三冠最終戦である菊花賞。
トウショウボーイとテンポイントの2強ムードの中、ここで第3の男の強さが炸裂する。
グリーングラスは、スタート後に先頭集団に入り5、6番手に控える。
スタート枠が11番とほぼ真ん中だったが、内に進路を取る。
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1周目の正面に入った後、4、5番手を内のポジションで通過。
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第2コーナーに入ると外にテンポイント、トウショウボーイが共に現れ、グリーングラスの前へ上がる。
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坂の上りに差し掛かかり、少し外へ進路を取る。
しかし、最後の直線では最内を選択。
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最内を選択したグリーングラスとは対照的に、トウショウボーイとテンポイントは外を選択した。
外の2頭を寄せ付けない走りでゴールを目指す。
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外からテンポイントが襲いかかったが、グリーングラスは見事粘り勝ちを見せた。
2強の猛追を見事に振り切り、菊のタイトルを獲得した。
勝利したグリーングラスは単勝12番人気の伏兵だっだ。
第75回天皇賞(vsテンポイント)
年が明け、古馬となったグリーングラスの初の対戦相手はテンポイントとの3200mの長距離戦。
菊花賞馬と言う事もあり、期待は大きい。
長距離で持ち前の粘り強さを、ここ春の天皇賞でも発揮したいグリーングラス。
一方で、テンポイントは初のビッグタイトルを目指す。
内枠スタートのグリーングラスは、1度は2番手へ上がるも、後に5、6番手に落ち着く。
すぐ横にテンポイントが着いている。
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馬群はバラけた状態で最初の正面スタンドに入る。
昨年制した菊花賞と同様に最内で通過。
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グリーングラスは歓声に驚いたのか少しかかり気味に。
対照的に、テンポイントが落ち着いた雰囲気で通過する。
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最内を走っていたがコーナー通過後に少し外に出る。
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グリーングラスはマークされる様な形で、真後ろにテンポイントが続く。
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第3コーナーに差し掛かり馬群が密集し始めるも、グリーングラスはポジションを保ったまま。
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最後の直線に向くと、いつの間にか最内を選択して走っている。
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しかし、先に先頭に立った外のテンポイントが3200mの長丁場を制した。
昨年制した菊花賞と同じような直線での勝負となったが、グリーングラスは4着でレースを終えた。
盾はテンポイントへ渡り、悲願の初のビッグタイトル獲得となった。
第18回宝塚記念(vsトウショウボーイ、テンポイント)
三つ巴戦、連勝へ
昨年制した菊花賞以来となる三つ巴戦。
古馬になってからは初めての三つ巴戦となった宝塚記念。
グリーングラスはもちろん三つ巴対決の連勝を狙う。
大外枠からの良いスタートを切ったグリーングラスは、トウショウボーイ、テンポイントに続き3番手に。
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そのままの順位で最初の正面スタンドを通過し、向正面に入っても3番手を保つ。
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グリーングラスは、第3コーナーでテンポイントに並びかける。
テンポイントもスパートをかける為に動き始る。
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3頭の差はほぼなくなる。
最内のトウショウボーイ、真ん中のテンポイント、外にグリーングラスが並んで直線を迎える。
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グリーングラスは外からトウショウボーイとテンポイントを交わしにかかるが、内を走る頭に離されて3着だった。
4馬身差の3着。
今回のレースでは、トウショウボーイとテンポイントの2頭に離される形となった。
三つ巴戦の連勝とはならなかった。
第76回天皇賞(vsトウショウボーイ)
現在は府中2000mで争うが、この時代の秋の天皇賞は3200mだった。
長距離戦を得意とするグリーングラスは外枠からレースに挑んだ。
外枠からスタートしたグリーングラスは、先頭集団へ馬体を押し上げて行く。
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早くも馬群が縦に伸び始めて行くと、グリーングラスはトウショウボーイを見る様にして5番手を追走。
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最初の正面スタンドに入った後、先頭に居たトウカンタケシバが4、5馬身離す展開に。
2番手のトウショウボーイに続く様にグリーングラスが続く。
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正面スタンド通過後、最初のコーナーを曲がると、先頭との差はなくなり馬群が密集する。
グリーングラスは5番手あたりで向正面に入る。
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向正面の中間あたりで、さらに馬群が固まり、第3コーナーでトウショウボーイが先頭に。
グリーングラスはその後ろ、2番手を追走。
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テンポイントは、トウショウボーイとほぼ並び、最後の直線へ。
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トウショウボーイが抜け出すと、それに負けじとグリーングラスはスパートをかけるが失速。
なんと、抜け出していたトウショウボーイも失速。
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内からクラウンピラードに、そして外からホクトボーイに交わされる。
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そのまま巻き返す事無く、馬群の中へ沈んで行った。
交わされた途端に一気に力が抜けた様に見えた。
トウショウボーイも同様、いつもと違っていた。
得意としていた長距離で5着だった。
第22回有馬記念(vsトウショウボーイ、テンポイント)
最後の三つ巴戦
5歳最後のレースは暮れの有馬。
トウショウボーイがこの有馬記念で引退する為、このレースで三つ巴対決は最後となった。
グリーングラスは、スタート後に先頭へ上がったトウショウボーイとテンポイントとは裏腹に5番手に。
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最初の正面スタンドをそのままの順位で通過し、向正面では動き出すタイミングを見計らう様に走る。
中団馬群は先頭と離れている。
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中盤に差し掛かかり、トウショウボーイが先頭に出る。
グリーングラスはテンポイントの後ろ3番手に上がる。
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最後の直線で内で叩き合うトウショウボーイとテンポイントの2頭に外から襲いかかるも3着だった。
最後の三つ巴対決は、3着となったグリーングラス。
前の2着との差は1/2馬身だった。
またグリーングラスの後ろ、4着とは6馬身も開いていた。
TTGの3頭が、どれほど強かったのかが分かるレース内容でもあった。
※馬齢は旧表記
さいごに
※画像はイメージです。(Canvaを使用した執筆者本人による作品)
新馬戦でいきなりトウショウボーイと相見えたグリーングラス。
世代の顔との差は他馬と共に歴然だった。
その後は力を付けて行き、菊の舞台で花を咲かせた。
トウショウボーイとテンポイントに挑んだ第3の男。
緑の刺客グリーングラスが見せた競馬は、2強に劣る事の無い強い競馬そのものだった。
新馬戦から菊花賞制覇までの上がり、そしてその後の活躍は凄まじいものである。
グリーングラスの情報
グリーングラス(牡馬・黒鹿毛)
1973年4月5日生
2000年6月19日没 27歳(旧28歳)
父インターメゾ
母ダーリングヒメ
母父ニンバス
[生産者]
諏訪牧場(青森県上北郡天間林村)
[馬主]
半沢吉四郎
[調教師]
中野吉太郎(中山)
中野隆良(中山→美浦)
[競走成績]
26戦8勝
[主な勝ち鞍]
1976年 菊花賞(八大競走)
1978年 天皇賞(春)(八大競走)
1979年 有馬記念(八大競走)
(参考:Wikipediaより)
☆TTG対決トウショウボーイ編はこちらから。
☆TTG対決テンポイント編はこちらから。