【エルコンドルパサー】世界の頂に挑んだ怪鳥

keiba8 競馬

怪鳥エルコンドルパサー

keiba(ターフ)
※画像はイメージです。(Canvaを使用した執筆者本人による作品)

世界との距離を教えてくれた

競馬史の中でも最強世代との呼び声が高い98年クラシック世代。
外国産馬であった為、クラシック競走は未出走だったが、世界へ挑み頂点までの距離を教えてくれたエルコンドルパサー。

今回の記事では、エルコンドルパサーについて見ていきましょう。

怪鳥エルコンドルパサーの誕生

二代目のエルコンドルパサー

1995年3月17日、父キングマンボ、母サドラーズギャルの仔として産まれる。
父キングマンボは現役時代、仏2000ギニーなどを制した競走馬であり、エルコンドルパサーの他にキングカメハメハの父としても知られている。
一方で母サドラーズギャルは、サドラーズウェルズ血を受け継いだ良血馬。

エルコンドルパサーはノーザンダンサーの4×3、ネイティブダンサーの4×5と2つのインブリードの血統である

また、このエルコンドルパサーは二代目であり、先代のエルコンドルパサーはデビュー前に他界していた。

馬名のエルコンドルパサーは、ペルー民謡の『コンドルは飛んでいく』

無敗でG1制覇

keiba(トロフィー)
※画像はイメージです。(Canvaを使用した執筆者本人による作品)

NHKマイルC

デビュー戦からの3戦はダートを走り、4戦目に初の芝としてニュージーランドトロフィーに出走。
ここまで無敗で勝ち上がって来た。
※3戦目の共同通信杯は馬場の不良により、ダートに変更された

初のG1舞台としてNHKマイルCを選択したエルコンドルパサーは、1.8倍の1番人気でレースを迎えた。
レースでは出遅れる事なくスタートを決めると、馬群の中団を追走し、第3コーナー付近で4、5番手とさを詰めて行く。
直線400mを通過した時点で先頭に立ち、1と3/4馬身差でG1初参戦で初制覇を成し遂げた。

ジャパンC

毎日王冠で歳上のサイレンススズカの2着に敗れた後、ジャパンC出走を選択。

ジャパンCではスペシャルウィーク、エアグルーヴに続く3番人気で迎えたが、積極的にレースを進め、道中では3番手に付ける。
後続は先頭のサイレントハンターに3、4馬身離される展開となったが、直線の残り400mで先頭に立つと、エアグルーヴとスペシャルウィークを退き2と1/2馬身差で勝利した。

JRA所属の4歳馬のジャパンC勝利は史上初である。

※馬齢は旧表記

外国産馬としての壁

クラシック未出走

エルコンドルパサーは外国産馬であった為、クラシック競走への出走が認められなかった
エルコンドルパサーと同様に外国馬・外国産馬でクラシック出走が出来なかった名馬は多数いる。
同期ではグラスワンダーも当てはまる。

後に2001年に外国馬・外国産馬のクラシック出走が認められた

98年クラシック世代

強者が揃う同世代

98年世代は主に、
スペシャルウィーク、セイウンスカイ、キングヘイロー、エアジハード、マイネルラヴ、グラスワンダー
とレベルが高い事で知られている。

世界に挑んだ99年

keiba(凱旋門)
※画像はイメージです。(Canvaを使用した執筆者本人による作品)

海外G1制覇サンクルー大賞

年が明け99年は戦いの場をフランスに移したエルコンドルパサー。
昨年のジャパンC以来およそ6ヶ月ぶりにイスパーン賞(G1)に出走。
初の海外戦2着と健闘。
続くサンクルー大賞(G1)で海外G1初制覇を成し遂げた。

『勝者が2頭いた』凱旋門賞

サンクルー大賞後に凱旋門賞と同舞台・同距離のフォワ賞(G2)に勝利、本番へ弾みをつけた。

凱旋門賞当日は不良馬場。
2番人気と高い評価を受けて挑んだ。

最内枠のエルコンドルパサーはスタートから飛ばし先行策でレースを進める。
道中は2番手に 2馬身ほど差をつけ、先頭で最後の直線を迎えたエルコンドルパサーは、さらに差を広げて行く。
しかし、1番人気のモンジューに残り100m付近で交わされ2着でレースを終えた
1着のモンジューとの差は1/2馬身。
世界の頂点まで後僅かであった。

現地メディアはこのレースについて、
『勝者が2頭いる』
とエルコンドルパサーを高く評価。

エルコンドルパサーは、凱旋門賞2着を最後に引退した。

物議の年度代表馬

99年は国内未出走

エルコンドルパサーは99年のJRA賞年度代表馬に選出された。
しかし、99年はフランス遠征をしており、日本のレースは出走していなかった為、JRA賞の選出に対して物議を醸した。

連対率100%

安定した強さ

エルコンドルパサーは11戦8勝、連対率100%を記録。

10戦以上して連対率100%だった競走馬は他に、シンザン(1961年生)、ダイワスカーレット(2004年生)、イクイノックス(2019年生)がいる。
※無敗馬は除く

種牡馬としての成績

keiba(引退後)
※画像はイメージです。(Canvaを使用した執筆者本人による作品)

怪鳥の後継者

腸捻転で亡くなるまでの約2年、短い種牡馬生活の中で重賞勝ち馬を多く輩出。
G1/Jpn1を9勝したヴァーミリアン、菊花賞馬ソングオブウインド、ジャパンカップダートを制したアロンダイトが主な代表産駒である。

また母父としては、クリソライト、マリアライト、クリソベリルとG1/Jpn1馬が多数いる。

さいごに

世界に挑み、世界との距離を教えてくれたエルコンドルパサー。
日本馬としても特徴的な現役生活を送りながらも高い結果を残した彼のタフさは、競走馬の中でも折り紙付きです。

また短い種牡馬生活の中で残した血脈から、芝・ダート両方でG1を制する仔たちを輩出した事も、現役時代の戦績と共に評価される要因でしょう。

あと少しで届いた世界の頂点。
日本馬による凱旋門賞制覇の日が来るのを楽しみに待ちましょう。
もしかしたら、その競走馬の血統表に”エルコンドルパサー”の馬名が載っているかもしれません。

エルコンドルパサーの情報

エルコンドルパサー(牡馬・黒鹿毛)
1995年3月17日生
2002年7月16日没 7歳

父キングマンボ
母サドラーズギャル
母父サドラーズウェルズ

[生産者]
Takashi Watanabe

[馬主]
渡辺隆

[調教師]
二ノ宮敬宇(美浦)

[厩務員]
根来邦雄→佐々木幸二

[競走成績]
11戦8勝
(中央)7戦6勝
(仏)4戦2勝

[主な勝ち鞍]
1998年 NHKマイルC、ジャパンC
1998年 サンクルー大賞

[獲得タイトル]
1999年 JRA賞年度代表馬
1998年 JRA賞最優秀4歳牡馬
1999年 JRA賞最優秀5歳以上牡馬
2014年 JRA顕彰馬

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